潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎について

潰瘍性大腸炎について大腸の粘膜に起こる炎症性疾患で、はじめ直腸にびらんや潰瘍ができ、進行につれて炎症が上に広がっていきます。症状は、下痢と腹痛があり、下血がしばしばともないます。炎症が悪化する活動期と治まる寛解期を繰り返し、徐々に病変の範囲が広がっていきます。直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型と進行し、重症化すると発熱や体重減少、貧血などが起こることがあり、腸管以外で眼や皮膚、関節に症状が現れるケースもあります。炎症を改善する治療を中心に行っていきますが、再燃しやすいため症状のない寛解期にも継続して治療を続けて寛解期の維持を目指します。しっかりコントロールできれば、普通に生活を送ることができます。
重症化して大腸穿孔や大量の出血を起こしている場合などには外科手術による大腸全摘出が必要になる場合もあります。以前はこの手術で人工肛門を作ることが主流でしたが、現在は小腸に便をためる部分を作って肛門につなぎ、普通の方とほぼ同じ生活が送ることができる手法が行われるようになっています。
比較的若い方の発症が多いのですが、幅広い年代が罹患します。

潰瘍性大腸炎の症状

代表的な症状は下痢、腹痛、血便です。下痢を繰り返し、便に血が混じるようになり、やがて血液だけでなく粘液や膿が混じった便が出るようになります。こうした活動期から症状が治まる寛解期を迎えますが、放置していると再燃して活動期に入り、炎症の範囲が広がっていきます。炎症が大腸全体にまで広がってしまうと内科的な治療が困難になりますので、炎症の範囲が狭い早期に専門医を受診して潰瘍性大腸炎の診断を受け、寛解期にも治療を継続して炎症範囲を広げないようにすることが重要です。
進行すると発熱や体重減少、貧血などの症状が現れはじめ、眼、皮膚、関節などに症状が出てくることもあります。

 

潰瘍性大腸炎の原因

原因はまだはっきりとしていませんが、腸内細菌の関与、自己免疫反応の異常、食生活の影響などが指摘されています。遺伝的因子の関与については研究が進められていますが、まだ不明です。
原因がまだよくわかっていないため完治できる治療法がなく、国の難病指定を受けているので助成対象になっています。当院は指定医療機関であり、難病指定医により治療を行っています。

潰瘍性大腸炎の検査

症状や既往症、薬の服用、アレルギーの有無などについてお話をうかがい、内視鏡検査で腸の状態を確認します。検査で潰瘍性大腸炎であると診断されたら、炎症を改善する治療を行っていきます。

内視鏡による観察

潰瘍性大腸炎の活動期には、特徴的な所見があります。粘膜の腫れや顆粒状粘膜、表面の膿などです。また粘膜は触れただけで出血を起こします。炎症が強いケースでは、大腸のヒダが消失し、びらんや潰瘍が多発します。
寛解期には正常な粘膜と変わらない状態に戻りますが、強い炎症を起こした後の寛解期では炎症性ポリープや粘膜委縮が残っているケースもあります。再燃を繰り返して炎症の範囲が広がると、腸粘膜の萎縮や大腸短縮、ヒダの消失などが起こります。
再燃を繰り返すと炎症が長期化し、それによって大腸がんリスクが上がります。大腸の状態を確認するためにも定期的な内視鏡検査はとても重要です。

潰瘍性大腸炎の治療法

同様の症状を起こす腸炎はいくつもありますので、感染症ではないかなども考慮しながら診察します。内視鏡検査で潰瘍性大腸炎には特徴的な病変が認められたら、組織を採取して生検し、確定診断となります。下痢が強い場合には脱水を防ぐ治療を、出血が多い際には止血処置などを行いますが、貧血や脱水、栄養障害がある場合には入院治療が必要です。

治療について

炎症がある活動期には寛解期に導くため炎症を抑える治療を行っていきます。寛解期になったら、その状態を維持して炎症をそれ以上進行させないよう治療を続け、コントロールしていきます。
薬物療法と生活習慣改善が主な治療法ですが、進行して重症化している場合には外科手術が必要になる可能性もあります。

薬物療法

薬物療法軽症から中等症の治療では主に5-ASA製剤が使われます。これは炎症を抑え、再燃を予防する効果が期待できます。中等症から重症で炎症が強い場合には、炎症の抑制効果が高い副腎皮質ステロイド薬を用います。他に、免疫調節薬や抑制薬、薬物療法ではありませんが血液中から異常に活性化した白血球を取り除く血球成分除去療法などが行われる場合もあります。

5-ASA製剤

サラゾスルファピリジン(サラゾピリン)の副作用を軽減できるメサラジン(リアルダ・アサコール・ペンタサ)を用いて治療を行います。経口だけでなく直腸からの投与を行うこともあります。下痢や血便、腹痛などの症状は投与により改善します。寛解期になってからも炎症の抑制や再燃予防のために継続投与します。なお、メサラジンの継続投与による大腸がんリスク軽減が報告されています。

副腎皮質ステロイド薬

抑制効果が高いため、炎症が強いケースに用いられます。

抗TNFα受容体拮抗薬

注射薬でインフリキシマブ(レミケード)やアダリムマブ(ヒュミラ)などがあります。炎症反応を抑える作用があります。

免疫調節薬・抑制薬

ステロイドが無効なケースや使えない場合などに用いられます。この治療は入院が必要です。

血球成分除去療法

血液中から異常に活性化した白血球を取り除く治療法です。活動期でステロイドを使えないケースなどに用います。

外科手術

内科的な治療が主に行われ、それにより寛解期を維持していくことができます。ただし、大量の出血や大腸に穴が開く穿孔が起こるなど重症化した場合には手術が必要になります。大腸全摘出が必要になる場合、以前は人工肛門を作ることが主流でしたが、現在は小腸に便をためる回腸嚢を作って肛門につなぎ、普通の方とほぼ同じ生活が送ることができる手法が行われるようになっています。当院では手術が必要になった場合、手術後のQOL(生活の質)が保てるよう、高度な医療技術で肛門機能を温存する外科手術を得意とする医療機関をご紹介しています。

TEL:027-372-8060
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